TCエナジー(トランスカナダ)(TRP)はカナダ・カルガリーに拠点を置くエネルギー事業者で、主に天然ガスパイプラインを通じて収益を得ています。
TCエナジーはすでにある程度完成した事業を有しています。そのため、株価の成長よりも高い配当利回りをもって投資家への還元を期待できる企業です。
業務内容
出典:https://www.tcenergy.com/investors/why-invest/
TCエナジーはカナダ・アメリカ・メキシコにて石油・天然ガスのパイプライン輸送事業を担当します。2000年、当時のTCエナジーの事業は天然ガスパイプラインと小規模の発電事業だけでした。が、2010年にはアメリカやメキシコを中心にパイプラインが増えたほか、石油パイプラインと発電施設も増えています。
現在のEBITDAのうち、68%は天然ガスパイプライン、23%が原油パイプラインとなっています。
セグメント別の売り上げは以下の通りで、天然ガスパイプラインのうち、約8割はカナダと米国のパイプライン事業です。
出典:https://www.tcenergy.com/investors/why-invest/
TCエナジーのパイプライン事業は資源価格の影響を受けにくいのが特徴です。以下は1株利益と、ファンド(パイプライン事業をファンド化したもの)が生み出した1株利益の推移で、金融危機や原油価格の低迷に依存せずに売り上げが伸びていることがわかります。
出典:https://www.tcenergy.com/investors/why-invest/
ちなみに、TCエナジーの現在建設中のプロジェクトに「キーストーンXLプロジェクト」があります。カナダ・アルバータ州の原油(オイルサンドから加工した合成原油)をアメリカに輸送するものです。
業績推移
以下はTCエナジーの年別の業績推移です。
出典:gurufocus
TCエナジーは負債を増やしながら、設備投資を行っていく傾向にあります。キャッシュフローに注目しても、営業キャッシュフローと財務キャッシュフローは常にプラスで、投資キャッシュフローがマイナスになっています。
一方、TCエナジの配当性向は約70%と高く、増配も続けています。そのため、TCエナジーは負債で事業を回しながら配当を増やしていく企業と言えます。

現在のTCエナジーのインタスレスト・カバレッジ・レシオは2.66で、すぐに負債を支払えなくなるような水準ではありません。同業他社のエンブリッジも似たような水準なので、パイプライン事業者としてはこんなものなんでしょう。
ちなみに売上高純利益率(Net Margin)は38%でエンブリッジよりも高い水準です。
なお、2017年以降は売り上げの伸びが止まっています。しかし、2020年から2023年にかけていくつかのパイプラインのサービスが始まる予定なので、順調に進めば売り上げは増える予定です。
過去の株価推移
出典:gurufocus
TCエナジーは過去、PER15以上の株価で取引されていましたが、最近はそれよりも低い株価で取引されていることが多いです。個人的に、最近のTCエナジーの株価がぱっとしない背景には、そもそもカナダのエネルギーセクターの株価がさえないことと、バイデン候補が名指しで「キーストーンXL」の中止を明言したためと思っています(下記記事参照)。

ちなみに、2020年Q1、Q2のEPSはコンセンサスを上回っており、コロナウイルスの影響はそこまで大きくありません。やはり今後4年間がどうなるかが懸念かなぁと感じます。