カナダの電力事業者の1社である「アルゴンキンパワー&ユーティリティーズ(NYSE:AQN、TSX:AQN)」の財務状況と株価などについて見ていきます。
Dividend | Algonquin Power & Utilities
アルゴンキンパワー&ユーティリティーズは、日本人が米国市場で取引できる貴重なカナダの公益銘柄です。日本からネット証券で取引できる、他の公益セクターのカナダ株として「フォーティス」があります。
主な業務内容
カナダとアメリカで発電事業・配電事業・水道事業などを担当します。アルゴンキンパワー&ユーティリティーズは水力発電と天然ガス発電のほか、再生可能エネルギーとして風力や太陽光などの発電設備を有しているのが特徴です。
出典:公式サイト
米国の民主党は従来の化石燃料よりも再生可能エネルギーを重視する傾向があり、仮に2020年に民主党系の大統領が誕生した時に恩恵を受ける・・・かもしれない銘柄です。
なお、調整後EBITDAに基づくと、規制下にある従来の天然ガス等の比率は約65%、再生可能エネルギーの比率は35%です。
出典:公式サイト
Gurufocusの記事では、電力事業と水道事業に分散されている点を評価し「プロテクションを求める投資家に向いている」と紹介されています。
Algonquin Power and Utilities Corp. (NYSE:AQN) is a utility company that is a great match for investors who are looking for even more protection.
出典:3 Water Utility Stocks You Should Buy to Ride Earth’s Greatest Megatrend | gurufocus
財務状況
アルゴンキンパワー&ユーティリティーズの年別の売り上げ推移などを紹介します。
出典:gurufocus
アルゴンキンパワー&ユーティリティーズは他社を買収することで大きくなってきた企業です。事業で得た収益の多くは配当として出しています(下記記事参照)。

一方、事業の拡大に積極的な借り入れを活用しています。売り上げの伸びとともに負債残高も増えてきているほか、過去5年の財務キャッシュフローは常にプラスです。
現在のアルゴンキンパワー&ユーティリティーズのインタレスト・カバレッジ・レシオ(利益で負債の利払いをどのくらい賄えるか)は1.98で、問題になる水準ではありません。
なお、この水準は他のカナダの発電事業者と比べると、高からず低からずといったところです。
比較的似た事業体である「Brookfield Renewable Partners LP」が1.52で、Algonquin Power & Utilitiesのほうが優れます。
長期の株価推移
以下はアルゴンキンパワー&ユーティリティーズの株価推移とPER 15のラインを重ねたものです。
出典:gurufocus
アルゴンキンパワー&ユーティリティーズの過去の株価はPER 15よりも高い水準で推移してきました。と考えると、現在の株価は過去の水準よりはすこし安いのかもしれませんね。
もう少し再生可能エネルギーの比率が高ければ、最近の「民主党政権期待」で買われたのかもしれませんが。。
投資判断
アルゴンキンパワー&ユーティリティーズは保守的な公益株である点と、化石燃料に大きく依存していない点で将来も安定的に保有できる銘柄だと思います。事業拡大に負債を積極活用する点が気になりますが、北米の公益事業者はみんなそんな感じなので、まあそんなもんなんでしょうと。
ただ、2020年7月時点では時世が悪いですね。どうしても選ばれる銘柄、選ばれない銘柄の差が激しいので、今後しばらくは株価が上がることを期待しにくいです。
積極的に買いたいわけではないですけど、公益株が欲しいときはアルゴンキンパワー&ユーティリティーズを買ってもいいかなぁとそんなところです。