カナダの主要な通信株である「BCE」について見てみました。同社は1800年代にグラハム・ベルが設立した「ベル電話会社」に由来する企業で、かつてはベル・カナダ・エンタープライズと名乗っていました。
BCEは典型的な高配当株で、2020年現在で12年間増配を続ける、連続増配銘柄でもあります。カナダの配当課税を考慮しても、高い利回りを享受しやすい銘柄です。

一方、将来ぐんぐん株価が高まることは期待しにくいため、株を買うタイミングを精査したい銘柄です。
2020年現在、カナダでは5Gの導入が進められており、将来的には人口の99%がBCEのLTEネットワークに接続できるようになる予定です。
業務内容
BCEはカナダでモバイル通信、固定電話サービス、インターネットサービス、コンテンツ配信サービスなどを提供しています。セグメントはBell Wireline、Bell Wireless、Media事業の3つから成り立ちます。
売り上げに基づくシェアで見ると、Bell Wirelessに属するBell Mobilityはマーケットのおおよそ3割を占めています。
出典:https://www.ibisworld.com/industry-insider/analyst-insights/spectrum-s-effect-on-5g-technology-and-telecom-in-canada/
一方、固定通信サービスで、BCEはおおよそ4割のシェアを持ちます。
出典:https://www.ibisworld.com/industry-insider/analyst-insights/spectrum-s-effect-on-5g-technology-and-telecom-in-canada/
以上のように、BCEはカナダでも有力な通信事業者であることがわかると思います。
業績と負債の推移
以下は年ごとのBCEの売り上げ・負債推移とキャッシュフローを示したものです。
出典:gurufocus
BCEの事業はすでに完成しており、毎年安定したキャッシュフローがある点が素晴らしいですね。BCEはフリーキャッシュフローの65~75%程度を配当に回すと宣言しており、典型的な高配当株の特徴を示します。
一方、負債は毎年増えていますね。キャッシュフローの多くは配当に回す一方で、事業自体は負債で資金を賄っているようです。
BCEのインタレスト・カバレッジ・レシオは4.95(2020年7月)と負債金利を十分に賄えるだけの営業収益があります。DEレシオ(負債資本倍率)も他社より優れており、「業績の安定したカナダの通信業者」として選択に値すると思います。

続いて、BCEのセグメント毎の売り上げを見ると以下のようになっています。現在のところ、最も売り上げが多いのは有線通信サービスを提供するWirelineセグメントです。
出典:https://www.bce.ca/investors/invest-in-bce
ただし、2018年から2019年への業績でもわかるように、現在業績が伸びているのは無線通信サービスであるWirelessセグメントです。将来的にはWirelineとの売り上げ順位は逆転するかもしれませんね。
出典:https://www.bce.ca/investors/AR-2019/2019-bce-annual-report.pdf
長期の株価推移
出典:gurufocus
BCEの株価はおおよそPER 15倍より少し高めに推移する傾向にあります。ライバル他社もほぼ同等のPERですので、特別高いわけではなさそうです。
投資判断
BCEはカナダでも有力な企業で、配当も魅力的です。高配当株である以上、将来ぐんぐん株価が高まることは期待しにくい銘柄です。株を買うタイミングを精査したい銘柄です。
強いてデメリットを挙げるとすれば、財務面では日本の通信事業者(NTTドコモやKDDI)のほうが優れており、特に破綻リスクが極めて低く抑えられている点で、BCEよりもおすすめしやすいです。
「カナダ株縛り」が無ければ、個人的には日本の通信事業者を選びますねw
株価が大きく上がりそうな話題はありませんが、5Gサービスが拡大することで、将来にわたっても安定的なキャッシュフローは得られると思います。