カナダのエネルギーセクターの1銘柄である「セノバスエナジー(Cenovus Energy)(CVE)」について見てみました。同社は主にオイルサンドの採掘と原油の精製で収益を得ています。
セノバスエナジーの配当分配を考慮した損益分岐点は38ドル前後です。2020年の原油価格低迷の影響を受けて、業績が赤字となり、一時的な配当の停止も決定しています。
2014年以降、株価は低迷しています。オイルサンドの採掘を前提とした事業を行い続けるうちは、株価の大幅な上昇は難しいかもしれませんね。
業務内容
セノバスエナジーは主にカナダのアルバータ州で化石燃料採掘を行っています。オイルサンド採掘と、アルバータディープベースン(Deep Basin)と呼ばれる天然ガス地帯でのガス採掘です。
また、米国でフィリップス66(PSX)と共同で製油所を経営しており、鉄道を利用した米国までの原油輸送と精製も請け負っています。
セクター別の売り上げを見ると、主な売り上げはオイルサンドの採掘事業と精製・販売事業が賄っています。
出典:https://www.cenovus.com/invest/docs/2020/2019-annual-report.pdf
セノバスエナジーのオイルサンド採掘は水蒸気を利用してオイルサンド層からビチューメンを取り出すSAGD法(Steam-Assisted Gravity Drainage)を利用しています。同社資料によると、同手法を利用した採掘では、セノバスエナジーがもっとも卓越した技術を持っているそうです。
業績と負債の推移
以下は四半期ごとのセノバスエナジーの業績と負債、キャッシュフローの推移です。
出典:gurufocus
セノバスエナジーの損益分岐点は配当を考慮して約38ドル(WTI原油ベース)です。2020年3月は原油価格が大幅に下落したため、純損失が出ています。
出典:https://www.cenovus.com/invest/docs/2019/2019%20Investor%20Day%20Presentation.pdf
なお、カナダの主なエネルギーセクターの銘柄と比較した時、セノバスエナジーの債務の大きさ(負債資本倍率)は中間的~やや少なめの部類です。

配当
セノバスエナジーの配当は業績に連動しています。原油価格が高かった2015年以前は1株0.2カナダドル以上だったものの、近年は1株0.05~0.0625カナダドルまで減ってしまいました。
コロナショックで原油価格が暴落した2020年3月には、バランスシート保護のため、一時的な配当の停止を行っています。
Cenovus is also suspending its dividend. It noted the payout to shareholders – which had most recently been set at 6.25 cents per share – was based on West Texas Intermediate crude oil at US$45 per barrel. WTI closed at US$20.31 on Wednesday.
出典:Cenovus halts dividend, cuts spending (again) amid oil crash | BNN Bloomberg
ちなみに1株0.0625カナダドルを支払ったときの配当性向は約10%です。
長期の株価推移
出典:Atom Finance
セノバスエナジーの株価は2014年以降は低迷する傾向にあります。これはちょうどWTI原油の価格が100ドルから50ドル台に下がった時期に一致します。2017年頃以降は売り上げは増えたものの、負債が増えたことも嫌気されてか、株価は戻りませんでした。
オイルサンド事業はESG投資の観点から避けられる傾向にあり、現カナダ政権も将来の撤退を明言しています。精製事業や天然ガス採掘の将来性に期待したほうが良いかもしれませんね。