バリックゴールド(GOLD/ABX.TO)の概要と長期投資の検討

バリックゴールドのポートフォリオ投資

バリックゴールドはカナダ最大の金鉱株銘柄です。現在、南北アメリカとアフリカ、そしてパプアニューギニアに権益を持っており、グローバルに採掘を行っています。

この記事では、バリックゴールドの売り上げや負債状況の推移、長期的な展望などを考えます。個人的には、同社の株式は長期では保有しないつもりです。

バリックゴールドの採掘コスト(AISC)や財務状況は、カナダ籍金鉱株の中で平均的か優秀な部類に属する企業です。金鉱株の長期投資を検討する際には候補に入れてよいカナダ株だと思います。

ちなみに配当利回りは約0.8%で、一般的な金鉱株と同じ水準です。

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現在の財務状況と採掘コスト(AISC)

バリックゴールドの財務状況

出典:https://www.gurufocus.com/stock/GOLD/summary

バリックゴールドはおおよそ5年ほど前までは負債が多かったものの、それ以降は順調に減らしてきました。

ゴールドの価格が低迷した2013年以降は3年ほど赤字だったものの、現在は利益が出る体制に戻っています。ゴールドの価格低迷は2019年まで続きましたので、2016年以降はより低い売り上げでも利益が出る体制になっています。現在の営業利益率は26.81%で、これは同業他社の水準よりも高めです。

ちなみに同社の採掘コスト(AISC)は954USDでした(2020年5月時点。カナダ籍金鉱株の「コスト」AISC(All-In Sustaining Costs)を調べてみる)。この水準はカナダ籍金鉱株としては「普通」程度です。参考までに米ニューモントは1030USDでした。

長期投資を占うポジティブ要素とネガティブ要素

ネガティブ要素:ゴールドの採掘量は減るだろう

バリックゴールドは同社の資料で、2029年までの全世界のゴールドの採掘見込み量を提示しています(下図)。

2029年までのゴールドの採掘見込み量

出典:https://barrick.q4cdn.com/788666289/files/doc_presentations/2020/02/Barrick_BMO-2020.pdf

この資料によると、ゴールドの採掘量は2020年がピークで、今後減少する見込みです。これはおそらく現在確認されている資源量に基づいてるため、実際にはこの通りにならない可能性もあります。

しかし、もしゴールドの生産量が本当に減少した場合には、バリックゴールドを含む金鉱株の売り上げの減少(= 株価の低迷)につながる可能性があるため、無視できません

基本的に、金鉱株は鉱山やライバル他社の買収をしながら大きくなる銘柄が多いため、利益率が高く、世界中に鉱山を抑えているバリックゴールドにとっては、この逆境も比較的有利に立ち回れると予想できます。

ポジティブ要素:ゴールドの価格は上がるか

ゴールド価格は、おおよそ米国のマネーサプライと関連性があります。実際には米国がマネーサプライによってデフレをコントロールできていない「危機」時に、ゴールド価格は上昇するそうです。

2020年6月現在、米国はかつてない量的緩和政策を行っています。このことはゴールドの価格を押し上げ、バリックゴールドを含む金鉱株の株価も押し上げる可能性があります

記事執筆時点では、ゴールド価格はまだ1700ドル台でレンジ相場になっていますね。この水準は2011~12年頃の高値と同じですので、かなり重要な価格帯です。

長期チャートと将来の株価

2020年6月時点でバリックゴールドのPERは10.45です。これは同社の過去10年でやや安い水準です。PER = 15の時の株価は約36ドルで、少し上値余地があります。

バリックゴールドの株価

DCF計算機でバリックゴールドの将来の予想株価を計算すると、割引率5%、10年間でEPSが平均4%の成長をすると、妥当な株価水準は約44ドルと求まります。

ところで、バリックの株価はゴールドと強い正相関にあります。

バリックゴールドとゴールドの価格の相関関係

「バリックゴールドが付加価値を生み出して株価が上がる」というより、そもそも「ゴールドの価格は上がるのか」に賭けたほうがよさそうですね。個人的には(バリックゴールドの株は持っていませんが)金鉱株自体は割とチャンスがあると思っています。

不安要素:カントリーリスクが高い

バリックの鉱山はカントリーリスクのある国にも分布しています。2020年6月現在、パプアニューギニアで、地元政府といざこざが発生しています。

バリックゴールド(GOLD / ABX.TO)がパプアニューギニアで騒動に巻き込まれてる件
バリックゴールド(GOLD / ABX.TO)が保有するパプアニューギニアのPorgera鉱山(ポルゲラ鉱山)で、政府とトラブルが発生しています。2020年6月現在でトラブルは継続中で、むしろより悪化...

また、2010~2013年には、バリックがペルーやドミニカ共和国に有する鉱山において、環境汚染を懸念するデモ隊との衝突も発生しました。他の金鉱株に比べ、バリックゴールドは地元のいざこざに関する話題が多いように感じます。

個人的にバリックゴールドの株を持ちたくない理由はここですね。短期で持つならまだしも、長期で保有するのは不確実性が高いように感じます。

カナダ株式にはほかにも金鉱株が含まれますから、個人的には他社を選ぶと思います。

まとめ:将来性はあるだろうが買わない

というわけで、長期保有を考えた場合、個人的にはバリックゴールドよりも他のカナダ株を選びます。Wikipediaなどを見ていても、地元とのトラブルや黒い話が結構あるみたいですね。今後も何かのトラブルなど抱えたりするのでは?と思ってしまいます。

そういった話を無視すれば、バリックは強い金鉱株の1つだと思っています。負債も減っていますし、利益も出ているので、優秀な金鉱株の1つです。カントリーリスクさえ気にしないのであれば、購入しても差し支えない銘柄だと思っています。

あとはゴールドの価格が上がるかどうか、です。