カナダの銀鉱株「マキュアンマイニング(MUX)」の株安要因を調べてみる

マキュアンマイニングウェブサイト投資

ツイッターで銀の採掘を行うカナダ株「マキュアンマイニング(McEwen Mining)(MUX:NYSE、MUX:TSX)のことを知っていたら教えてほしい」と話をいただいたので、調べてみました。この銘柄はカナダのトロントに拠点を置く企業で、特に銀の産出量が多くなってます(いわゆる銀鉱株)。

結論から述べると、

★株安要因

  • 銀価格の低迷
  • 2019年の公募増資
  • 2つの鉱山の獲得と探鉱のための多額の出費

などが、現在のマキュアンマイニングの価格低迷の原因になっていると予想します。

特にこれまで主力だった鉱山の1つが2018年に終了し、もう1つの鉱山も5年ほどの寿命と予想されています。そのため、新たな鉱山の開発に着手しているものの、こちらがまだ安定せず、困難な状況にあるようです。

同社はこれまでも赤字続きでちょっと経営が苦しくなってきた感がある点が、株安の原因になってると個人的には判断します。

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まず最近の株価

マキュアンマイニングの株価推移

青い線は銀の価格、オレンジの線は金の価格をそれぞれ重ねたものです。

マキュアンマイニングの株価は2011年と2016年に上がっています。2016年には1株4.5米ドルに達したものの、その後はだらだらと下がっており、記事執筆現在は1米ドルほどしかありません。

同社は基本的に銀の価格に株価が連動しています

銀の価格推移だけを取り出すと、2011年に一度大きな相場があり、2016年にも少しだけ値があがりました(下記グラフ)。

銀の価格推移

現在の銀価格は2016年よりわずかに低い状況です。

という前提で、マキュアンマイニングのファンダメンタルズ的な話に移ります。

これまでの業績など

マキュアンマイニングの営業収益

出典:Atom Finance

★凡例

  • 紫:Revenue(収益)
  • 緑:Gross Profit(売上総利益)
  • 赤:Operation Income(営業収益)

マキュアンマイニングは2016年のみ営業収益が出ているものの、それ以外の過去5年は赤字で終わってます。特に2018年以降は収益こそ増えていますが、経費(特に研究開発費)が増大したため、利益が失われています。

この理由は、同社が2017年に鉱山「Black Fox」を取得し、2019年には鉱山「Gold Bar」での生産を開始したことが影響しています。公式サイトの資料を読むところでは、これらの鉱山はまだ探査中とのニュアンスが強いです。

マキュアンマイニングの鉱山別年間生産量

出典:https://www.mcewenmining.com/investor-relations/presentations-and-fact-sheet/default.aspx

【GEO(Gold Equivalent Ounce / 金等価オンス)】
ここでは銀の生産量を金の生産量に換算し、金の生産量に加えたものを指します

同社は2016年時点では2つの鉱山を有していましたが、うち「El Gallo Mine」は2018年で採掘は停止しました。加えて、現在主力の「San José」の鉱山寿命はあと5年と見積もられています。そのため、次なる鉱山を求めてBlack FoxとGold Barでの開発を進めているのだと思います。

この2つに鉱山の獲得・開発のために、同社は2018年に負債を抱えています。

2017年以前はほとんど負債を持っていなかったことを考えると、かなり保守的な経営をしていたのかもしれません。

マキュアンマイニングのキャッシュと負債の推移

出典:https://www.gurufocus.com/stock/MUX/summary

また、2019年11月にはPublic Offering(公募増資)を行っており、株価下落の要因になりました。現状、採鉱のために多額のお金を必要としている状況かと思います。

McEwen Mining Announces Closing of US$50 Million Public Offering | McEwen Mining

今後の見込みは?

結構厳しいかもしれませんね。

優良鉱山だった「El Gallo Mine」での採掘は終了してしまったほか、現在主力のSan Joséの鉱山寿命はあと5年と見積もられており、それまでにBlack FoxやGold Barの開発を進めなければいけません。

Black Foxは地表面に近いとは推定されているものの、他社が保有する鉱山に比べると、鉱床の規模は小さいようです。加えて、2020年時点でも「探査が困難」と資料に書かれるほど!

一方、Gold Barはバリックゴールド(GOLD:NYSE、ABX:TSX)の余り物(隣の鉱区)を開発しているようです。こちらも2020年第一四半期の資料では、「うまくいってない」と述べられています。

このような状況ですから、採掘コスト(AISC)も高くなっています。以下は同社が保有する4鉱山のコストで、1オンスあたり1000ドルを超えています

マキュアンマイニングの採掘コスト(AISC)

出典:https://www.mcewenmining.com/investor-relations/presentations-and-fact-sheet/default.aspx

GEOは換算値なので、厳密に金鉱株と比較することはできないと思うのですが、一般的なカナダの金鉱株のAISCは900~1000ドル程度が多く、銘柄によっては700ドル台までコストを落としてる企業もあります(下記記事参照)。それに比べると、どうしても見劣りする水準です。

カナダ籍金鉱株の「コスト」AISC(All-In Sustaining Costs)を調べてみる
AISC(All-In Sustaining Costs)とは、探鉱から採掘、閉山までのすべてのコストを含めたものです。ざっくり言えば、現在の金価格からAISCを引いた分が、採掘企業の利益になります。...

安定的な生産に入ればAISCは下がると思いますが、現状だとまだ厳しい感もある気がします。

もし銀価格が大幅に上昇することがあれば、同社にとっては恵みの雨になると思います。

というわけで、現時点では安心して買える銘柄ではありませんね、というお話でした。