AISC(All-In Sustaining Costs)とは、探鉱から採掘、閉山までのすべてのコストを含めたものです。ざっくり言えば、現在の金価格からAISCを引いた分が、採掘企業の利益になります。
今回はSeeking Alphaの記事を参考に、カナダ籍企業のAISCをまとめてみました。
Gold Miners’ Q1 2020 Fundamentals | Seeking Alpha
カナダ籍金鉱株のAISC
企業 | AISC |
---|---|
バリックゴールド(GOLD) | 954 |
フランコネバダ(FNV) | – |
ウィートンプレシャスメタル(WPM) | – |
アグニコイーグルマインズ(AEM) | 1099 |
カークランドレイクゴールド(KL) | 776 |
キンロスゴールド(KGC) | 993 |
B2ゴールド(BTG) | 721 |
ヤマナゴールド(AUY) | 1032 |
アラモスゴールド(AGI) | 1010 |
パンアメリカンシルバー(PAAS) | 969 |
SSRマイニング(SSRM) | – |
エンデバーマイニング(EDV.TO) | 899 |
イクノクスゴールド(EQX.TO) | – |
アイアムゴールド(IAG) | 1230 |
ファーストマジェスティックシルバー(AG) | – |
プレティウムリソース(PVG) | 996 |
オシスコゴールド(OR) | – |
エルドラドゴールド(EGO) | 952 |
サンドストームゴールド(SAND) | – |
参考までに、アメリカのニューモントマイニング(NEM)が1030USD、オーストラリアのニュークレストマイニング(NCM)が827USD、南アフリカのハーモニーゴールド(HMY)が1336USDでした。
記事によると、金鉱株ETF(GDX)を構成する大手金鉱山の2020年第一四半期の平均AISCは1オンスあたり932USDでした。比較的コストが高いハーモニーゴールドを除くと915USDで、過去16四半期のGDXトップ34のAISCレンジは855~942USDでした。
上述の通り、現在の金価格とAISCの差分が企業の利益になります。AISCが抑えられているほど、利益を生みやすい企業と言えますね。
ちなみに金鉱株の負債についても調べていますので、併せてご覧ください。

AISCと株価の関係
2020年1月から5月までの主な企業の株価を以下に示します。
出典:yahoo finance
株価推移を見ると、AISCの低いカークランドレイクゴールド(図中ピンク)がやや低迷するなど、「AISCが低いほど株価が高くなりやすい」とは言い切れないように思えます。一方でB2ゴールド(図中水色)は比較的健闘しています。
というか、3月の下落をいくら抑えたかが現在の成績に効いてますね。
全体的には金価格(図中黄色の太線)が上昇するほど、金鉱株は大きく上昇する傾向に見えます。今後も金価格が上昇するならば、カナダの金鉱株は熱いセクターになるかもしれませんね。
個人的には財務面でも優れているカークランドレイクゴールド(Kirkland Lake Gold)(KL:NYSE、KL:TSX)を少し買ってみようかと思いました。