エンブリッジは2020年3月の株価が下落する前から配当金利回りが6%超と高く、カナダの税制を考慮しても、十分に高配当なのです。

ただ、エンブリッジはエネルギー関連銘柄。2020年3月の下落でカナダのエネルギー関連株は大幅に売られ、エンブリッジの株価も下落。現在の配当利回りはなんと8%ほどに。
こんな状況で追加投資は大丈夫なの?と調べてみました。
結論から述べると、おそらく2020年は大丈夫だと個人的には予想します。しかし、原油価格が低迷し続けると、生産事業者の減産や破綻が生じるため、長期化は悪い状況をもたらすかもしれません。
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では、一緒に見ていきましょう!
高配当は維持されるのかな?
高配当は維持されそう
結論から述べると、2020年の配当は維持されると筆者は考えます。
エンブリッジは過去20年、毎年配当金を増やしてきた増配銘柄です。2015年には1株利益(EPS)が赤字にも関わらず増配を行い、それまでの配当金を維持してきました。仮に2020年の1株利益が赤字であっても、同じように高い配当を維持するのでは?と思います。
長く続けたことをやめるのは、投資家にとってもマイナスの印象を与えるものです。
1株利益と1株配当から計算した配当性向は100%超(2020年4月7日現在で115%)と一般的な企業よりも遥かに高いのが特徴ですが、これは同社は減価償却などの費用を計上しているためです。エンブリッジは2019年には9.39ビリオン(カナダドル)の営業収益があり、そのうち配当金として分配したのは6.36ビリオン(カナダドル)でした。つまり、実際の収益からの配当金の割合は約68%となっています。
これならば多少売り上げが落ちたとしても、おそらくなんとか配当を維持するでしょうと。

2020年Q2までは配当維持を確認
2020年7月時点で発表されている情報では、エンブリッジの配当は維持されることが示されています。
原油安でも配当を維持できる理由
エンブリッジは原油の採掘を行っていないので、原油価格そのものは同社の売り上げに影響しないのです。
以下の記事では、エンブリッジがミッドストリーム銘柄で、原油価格の低迷が即座に業績低迷につながらないことを紹介しています。

ただし、原油価格の低迷が長期化し、パイプラインの利用がさらに減少し続ける場合には、エンブリッジの収益も減ってしまう可能性があります。
ちなみに2019年12月時点の投資家向け説明資料によると、大規模なM&Aや自社株買いは検討していないとのこと。すなわち金銭的余力は当面、会社の既存システムの拡大と配当としての還元に使われる見込みです。
余談:アメリカのシェールオイル業者が破綻しても大丈夫そう
今回の原油安でアメリカのシェールオイル業者の破綻が懸念されています。日経の記事によると、アメリカのシェールオイル業者の多くはアメリカ南部のパーミアン盆地から採掘を行っています。
南部テキサス州からニューメキシコ州にまたがる最大鉱区パーミアン盆地からの採掘が米シェールオイルの5割弱を占める。原油相場が下落した14~16年に生産コストの低減が一段と進み、採算ラインは既存の油田で1バレル25~40ドル程度、新規開発の油田で50ドル以下とされる。
エンブリッジはパーミアン盆地からメキシコ湾に接続するグレイオークパイプライン(Gray Oak pipeline)の22.8%の権益を持っており、アメリカのシェールオイル業者との関係はゼロではありません。
しかし、エンブリッジの主要なパイプラインはカナダからアメリカへ接続するものですので、アメリカのシェールオイル業者がいくつか破綻したとしても、エンブリッジの売り上げに大きな影響を与えることはなさそうです。
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