今回のテーマはカナダ株の見通しの話。
カナダ株に投資している以上、「カナダ株式は将来上がるのか?下がるのか?」は気になるところです。現在までに知りえた情報を元に、将来のカナダ株式について予想してみましょう。
おさらい:カナダ株式に影響を与えるもの
以下の記事でも触れたように、外的要因は「資源価格(原油など)」と「米国」です。それに加えて、カナダ国内での事情なども株式に影響を与えます。

カナダの主な輸出品は原油を中心とする資源です。以下のサイトでは2017年のカナダの貿易について、グラフィカルに閲覧できるので、そちらから引用しました。画像で閲覧すると、その原油と関係生成物の比率に注目してしまいますね。
https://oec.world/ja/profile/country/can/
カナダの輸出品目(2017)(出典:https://oec.world/ja/profile/country/can/)
カールとは自動車と関係部品のことを指しています。自動車産業はカナダの重要な産業です。
カナダ人所有の自動車会社は存在しないが、自動車産業はカナダにおける最大の製造業部門であり、2009年現在カナダの製造業GDPの16.3%、製造業売上の15.4%、製造業雇用の12.0%、そしてカナダの輸出の11.2%を占める重要産業の一つである。
カナダの米国依存度は高く、2017年では輸出品の73%を米国に輸出しています。いやー、びっくりするぐらい依存していますねw
カナダの輸出相手国(2017)(出典:https://oec.world/ja/profile/country/can/)
といった事情から、米国株式や原油価格の動向には注目しなければいけません。
参考までに米国株式(SPY)とカナダ株式(EWC)の相関度は0.8と、ほぼ運命共同体です。
EWCとSPYの相関係数(出典:https://www.portfoliovisualizer.com/asset-correlations)
リーマンショック後の状況
以下は2009年以降の株価について、米国株式(SPY)とカナダ株式(EWC)で比較したものです。カナダの株価の伸びは米国に負けています。
出典:https://www.portfoliovisualizer.com/backtest-portfolio
- Portfolio 1 : カナダ株式(iシェアーズMSCIカナダETF)
- Portfolio 2 : 米国株式(SPDR S&P500 ETF)
以下はカナダ株式と、原油価格(USO)、金価格(GLD)を比較したものです。資源価格の変動と株価の変動は似ており、特に2014~2015年ごろ以降の失速は原油価格の低迷も影響しているように見えます。
出典:https://www.portfoliovisualizer.com/backtest-portfolio
- Portfolio 1 : カナダ株式(iシェアーズMSCIカナダETF)
- Portfolio 2 : 原油(United States Oil)
- Portfolio 3 : 金(SPDR Gold Shares)
では、カナダ株は将来どうなるのか
長期的には株価は上昇するだろう
あなたがインデックス投資家ならご存知かもしれませんが、米国は過去200年にわたって株価が上昇してきた、という有名なグラフがありますよね(シーゲル教授の「あの図」ですよ)。あれは必ずしも米国に限った話ではなく、世界のどの国でも見られた話です。
書籍「証券市場の真実」によると、カナダ株式は1900年から2000年までの100年間で実質リターン6.4%(幾何平均ベース)を記録しました。1985年に2,500ポイントだったS&Pトロント総合指数は、2019年現在で16,500ポイントに達しており、この株価上昇の傾向は将来も続くだろうと予想します。
(受身的ですが)少なくとも、米国経済が成長する限りは、カナダ市場も上昇するのでは?と感じます。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/05/522a336a3c22c631.html
ただし、当面は米国株を劣後するのでは?
ただ、個人的には米国株式よりも劣後するのでは?とも思っています。
私たちは米国有名企業のサービスを使っていたり、企業名を挙げると「知ってる!」となることが多いです。しかし、S&Pトロント総合指数の構成上位銘柄のサービスを利用した事がある人は少数です。
結局のところ、今後株価が上昇するかどうかは、企業の成長余力と投資家の期待度合いの歯車が重要だと思います。国際分散のようなインデックスファンドを通じて資金流入はしても、多くの投資家が「カナダ!カナダ!」というのは考えにくいです。
カナダの産業体系は未だ20世紀のままのように感じます。新しい産業の登場が無い限りは、株価を大幅に上昇させるようなお金が集まらないのでは?と思うところです。
移民政策もあって、人口は増加する見込み
カナダは移民政策を展開する国家なので、高齢化に伴う人口減少を心配する必要はありません。現在は約3500万人ほどが住んでおり、2050年には4500万人ほどに増加する見込みです。
移民は中国人を筆頭とするアジア系移民が主体です。現在政権を握るジャスティン・トルドー首相とその所属政党(自由党)は移民に積極的ですが、将来は政策が変わるリスクはゼロではありません。
まとめ
- カナダ経済は米国と資源への依存度合いが強い
- リーマンショック後は米国株式に劣後。資源価格の低迷も原因の1つ
- 当面は米国株式に劣後する展開を予想。ただし、長期的には株価は上昇しており、長い目でみれば儲かるだろう
ちなみに、原油消費量の推移もカナダ経済に影響を与えますよね。
2050年ぐらいになって、原油よりもクリーンなエネルギーが主体になったときに、カナダが原油以外の何で外貨を稼ぐのは不安要素の1つです。
2020年にはバイデン大統領が誕生しそうです。バイデン氏はカナダからのエネルギー資源輸入にネガティブな方針を示していますので、株価は当面伸び悩む見通しかなぁと思います。